新着情報とお知らせ
<大会趣意書>
響き合ういのち
子どもたちは、日常の生活の中で出会う様々な場面で、保護者や保育者、仲間の姿を手 掛かりに、日々新しく出会う世界の扉を開き新しい経験をしながら、その中で世界への思 いや姿勢を育んでいきます。人も、ものも、子どもが出会う出来事も、すべて子どもが育 つ環境です。子どもが環境の中で主体的に活動し育つことの大切さは、現在の保育・幼児 教育の中で特に強調されるところでもあります。いうなれば、保育者がどのようにものご とを捉え大事に考え、保育の環境を整えたり子どもたちを見守り語りかけたりしているか、 そのすべてを空気のように感じ包まれ呼吸しながら、子どもたちは育っていきます。
この度の大会テーマを「響き合ういのち」とさせていただきました。子どもたちは、 日々の生活の中で、自然や仲間と過ごし、共にいる楽しさ嬉しさと共に、思い通りにならないやるせなさや悲しみ等を伴う多くの体験をします。時には、自分の内なる思いと相手 の思いとが、すれ違いぶつかり揺れ動いたり、触れ合い共鳴したりすることもあるでしょ う。「いのち」の不思議や儚さへの感動や戸惑いを、仲間や保育者と分かち合うこともあ るでしょう。このような日々の生活や保育の中で、子どもも大人も動植物も、すべて、限 りのある、平等で、かけがえのない存在と尊ばれることを実感する体験は、みほとけの慈 悲に包まれてともに響き合い育ち合う「いのち」について感じ考える機会ともなるでしょ う。
乳幼児期の「いのち」を感じながら育ち合う経験が、これからの子どもたちの生き方、 考え方、ものごとの捉え方、そして、社会や世界、地球そして宇宙への思いを形づくる根 っことなります。だれもどのひとも分け隔てなく敬い大切にしようとする価値観は、 SDGsやESD(持続可能な開発のための教育)といった世界の潮流、幼稚園教育要領等の3指針・要領の目指すところと共通するものでもあります。
子どもたちが「いのち」に触れる機会はおそらく日々の保育の中にあり、子どもたちに とって、共にいる保育者の姿が「いのち」についての思いや考えを深めるきっかけとなるのではないか。そのような保育を子どもたちが経験し育っていけるように、私たち保育者 や保育者養成にかかわるものは何ができるのか。そのようなことを、本大会で真宗保育の歴史や保育実践を手掛かりに、考えあう機会となることを願っております。 基調講演やシンポジウム、研究発表にて、会員の皆様の日々の実践・研究の成果を披露いただき、もって真宗保育の本質を考える機会にできれば幸いです。
2024 年 7 月
第 31 回真宗保育学会大会実行委員会